「意識」の美学

Life Heart Message2016.01.09

 

瞬間の積み重ねが永遠の「時」を作っている。そしてその瞬間の「質」は、私たちが一瞬一瞬にどれだけ多くの意識を向けているかで状況が変っていく。アリストテレスは「注意深く観察する能力が発達すればするほど、幸せになる能力が発達する」と言った。私たちの人生は、この一瞬一瞬が驚くべき発見に満ちあふれている。花も美しい、月も美しい、それに気づく心が美しい。人はだれでも、人生を美しくする力をもっている。人間であることの大きな喜びのひとつは、創造できるということであり、さらに生命の内奥にある本当の自分を意識し、内に秘めていた可能性を開花させることができるからである。

 

人間は考えるより先に、五感が働く。あらゆることは、まず感覚を通じて伝わっていく。感覚を磨くと、かけがえのない瞬間が、生き生きとする。研ぎ澄まされた感性は、より多くの喜びの泉となる。すぐれた感性は、生命をすばらしい世界へと誘う力をもっているからである。

 

①視覚(眼)の感覚器官は物の区別・異同を分別し、外界を認識する。

②聴覚(音)私たちは一日中、さまざま騒音にさらされている。音に敏感になり、音環境を改善する配慮が必要になっている。自然界の音、鳥の声、美しい音楽などに、ひそやかに心ふるわせたい。人生は壮大なシンフォニーなのだ。

③嗅覚(鼻)においは映像や味、音よりもはるかに喚起する力がある。埋もれた記憶を瞬時によみがえらせる。においの力で時空を超え、幼少時代や遠く離れた場所へと想いを馳せることができる。

④味覚(舌)食べ物の味は、直接身体に入るため、感性に大きく影響する。

⑤触覚(身)皮膚感覚は、生きるためにも、コミュニケーションのためにも欠かせないものであり、愛着や感動、喜びなどの感情を表現できる。幸せとは、触れることでもある。

 

この五感の情報を総合して、どう対応すべきかを思考、決定する第六番目の「意識」がある。この第六感は近代心理学が体感と呼ぶ有機的自己意識で、自らの内面の世界に関しては無明である。このさらに深いところに思量識(サンスクリットではマナ識)と呼ばれる「第七の識」があり、これは自己の内面を見つめる心で、深い内省的、瞑想的な思考作用である。この思量識は、意識の奥で絶えず強く深く自我に執着する心の作用があり、その人独自のものの見方、考え方、捉え方の個性が濁りを帯びる事がある。その深層に過去の行為、行動(思った事、言った事、行った事)が、無意識の世界が作用するからだ。

 

この生命の無数の因果の絆で縛られた「第八識」の枠を破って、原初の生命の本源にある「汚れなき根本の浄らかないのち」人間の心の最奥部にある「第九識」こそ、生命の肉体的、精神的なあらゆる動きが生じた根源であり、創造力の源泉そのものである。

 

そして人間の本源的な次元での責任性・主体性を持って自己中心性の“大気圏”を突き抜けたとき、宇宙生命と融合している無尽蔵の智慧と慈愛の宝庫、誰びとにも生命の奥底に美しき宝蔵がある。その扉を開く鍵を自ら持っているのである。経文には、「心地を九識にもち、修行をば六識にせよと・をしへ給う」