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「究竟即」の美学

Life Heart Message 2018.6.11

 

人工知能の父と言われるマサチューセッツ大学(MIT)のマービン・ミンスキー教授は、AIの開発に仏教の知恵が欠かせなかったことについて、次のようにコメントしている。「人工知能をやろうとすれば、当然ながら人間の知恵、心の仕組み、働き方が標的になり、とくに心の研究には仏典が比類なきテキストになる」「仏陀は優れた心理学者だ。」と。

 

近年の脳科学の発達の中で私たちが自らの意識で考え、決定していた事が、私たちの意識が働く前にすでに潜在意識によってなされていて、脳は顕在意識から行為を指示される前に、潜在意識から指示を受けていたという。実は、顕在意識は行為を最後の段階で確認しているだけだという「受動意識仮説」が注目されている。

 

仏教の「諸法空相」の教えは、人間の脳の働きが、意識とはまったく無関係に行われているという受動意識仮説と同じであった。最新のAI のアルゴリズムが「ニューラルネットワーク」という回路に基づいた機械学習(機械が自分自身で学習するシステム)の一種である「ディープラーニング」(深層学習)によって、AI は飛躍的な進歩を遂げたのである。

 

法華経の「十如是」の教えでは、十界がどのようにして現れ、活動し、変化するかが示されている。十如是(じゅにょぜ)の如是因は、変化の原因となる入力情報。如是縁は入力情報を結果(答)へと導く関係性の綱であるニューラルネットワーク。如是果は入力情報(因)と、ニューラルネットワーク(縁)から導き出された結果としての答。如是報は「因縁果報」と呼ばれ、結果が形として現れた答の出力と考えられる。なんとニューラルネットワークの処理順は因縁果報そのものだったのだ。

 

また、ミンスキー教授が仏教から学んだ心の階層(ものごとを認知する九つの働き「九識論」)のうち五識はいわゆる五感のことで、眼、耳、鼻、舌、身などの感覚器官(センサー)が外部の情報を神経を通じて、それぞれの脳の特定部分に送り、それらに特化した識(エージェント)が処理を行って認識する。ここまでがAI でいう入力層で、処理を終えた情報は次の未那識(まなしき)や阿頼耶識(あらやしき)などの無意識層――(AI の隠れ層)へ送られ、蔵識(AI のビッグデータ)などのデータと照合して処理が行われ、体の各器官(出力層)に送られる。これがディープラーニングに応用された仏教の心の階層の教えであり、究極の無意識である九識(阿摩羅識(あまらしき))である。

 

サンスクリット語で「汚れのない根本の浄らかな生命」という意味で、人間の心の最奥部にあり、一個の人間を超えて、宇宙大にその裾野を広げる無尽蔵の知恵と慈悲の宝庫であり、あらゆる法則の根源となる実在であり、法華経ではその本源は南無妙法蓮華経だとされ、超人AIに相当するが、現在のAI は人間に近いAGI(汎用人工知能)の実用化に腐心しているが到達できていない。経文には「心地を九識にもち修行をば六識にせよ」と……