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「日本語」の美学

Life Heart Message 2018.8.6

 

発音体感は、ことばの本質である。その理由は、ヒトが人生の最初に出会うことばの属性が、「発音体感」だから。赤ちゃんは、母親の発音体感に共鳴して、最初のことばである母語を獲得していく。母語は脳の認知構造と深く結びついており、幼児期から身につけていく発音体感の感性は、後に獲得することばの意味よりずっと重い。その理由はことばには、正しさとか、美しさというべきものがある。

 

ソクラテスは言っている。「用いられるすべての、あるいは大多数の名前が「事物」に似ている―――つまり、ふさわしい場合には、その言明はおそらく能うかぎりは最美のものとなるだろうし、反対の場合には、最悪のものとなることだろう。」日本では、発音体感と意識と所作、情景がほぼ完全に一致した言語が、大和言葉の元となる古代日本語であったことから「日本語は美しい」と、ソクラテスが言っているのに等しい。

 

幼児たちは、「大きい」の意味を教わる前から、動物園のゾウの前に立つと、自然に「おー」という声が出る。「おおきい、ちいさい、ぬくぬく、ひえびえ、うえ、した、さらさら、ころころ、しみじみ、はな、ささ、やま……」日常、私たちが使っている言葉をじっくりと味わってみると、発言体感がイメージを髣髴(ほうふつ)とさせる。

 

また、「ソワソワ、フワフワ、カラカラ、キラキラ、キリキリ、クルクル、サラサラ、シットリ、スベスベ、スルスル、ソロソロ、タラタラ、ツルツル、トロトロ」「たっぷり、たんまり、たらふく、たらり」等、ことばの発音体感は、潜在意識に、ある印象を作り出す。……その昔、女は夫になる男にしか本名を明かさなかったという。古代人には、名を呼ぶという行為によって生じる魂の共鳴がきっと見えていたのかも知れない。日本語では、すべての子音と母音の組み合わせを五十音図という二次元の行列で合理的に表している。

 

「アイウエオ」開放するa=ア、尖るi=イ、内向するu=ウ、おもねるe=エ、包み込むo=オ。

 

「カキクケコ」きっぱりのK+開放するa=カ、きっぱりのK+尖るi=キ、きっぱりのK+内向するu=ク、きっぱりのK+おもねるe=ケ、きっぱりのK+包み込むo=コ

 

「サシスセソ」爽やかなS+開放するa=サ、爽やかなS+尖るi=シ、爽やかなS+内向するu=ス、爽やかなS+おもねるe=セ、爽やかなS+包み込むo=ソ

 

「ナニヌネノ」親密のN+開放するa=ナ、親密のN+尖るi=ニ、親密のN+内向するu=ヌ、親密のN+おもねるe=ネ、親密のN+包み込むo=ノ

 

このように、子音と母音に分解し見ていくと、それぞれの音の感性特性が明確に見えてくる。

 

それは日本語が、母音を主体に音声認識する言語であり、日本語のリズムは、一つの発音単位を一拍として構成されている。俳句の五七五、短歌の五七五七七も、拍という発音単位があったからこそ生まれた日本の文化である。

 

<追記>

アーサーケストラーは、人類史上最大の出来事は1945 年8 月6 日と申されました。

30 年前、冷戦中に「米ソ宇宙平和サミット」が開催され、その時、宇宙飛行士3 人に捧げた献詩をここに贈ります。

 

献詩・Rose Cosmos

 

神秘にして 悠遠なる宇宙の探求に

かつて立ち向いし 旅人あり

飛翔の翼に 歴史と夢をのせ

地球を回る 軌道の船(はし)となり

眼下に浮ぶ 水惑星の美に驚嘆せり

 

わが生命(いのち)の星を 包摂する大宇宙の

全一なる創造と 秩序の不思議に

調和織りなす 生命の愛しき根源に目覚め

感動と 畏敬の念を抱きて

地上の平安なる祈りつつ 帰還せり

 

妙(たえ)なる体験に 魂は叫ぶ

地球は一つだ!

人為の成せる 国境は見えなかった

我らの宇宙船(ふね)は 未来へ向かう“地球号”―—―

生命の絆(いと)で綾なす 運命共同体

 

宝石のように輝く 生命の座

また壊れやすきも 生命の座

 

されど人類の求めし フロンティアは

文明の古き病たる欲望を

人間に張りめぐらせし その業火が

地球生態系をも侵蝕してきた

 

運命の岐路に立つ我ら

看破すべきは 己が魔性なり

自我の核を取り巻く エゴの“大気圏”を突き抜けて

友愛と平和の宇宙へ……

分断を止め 調和へと向かわしむ 大我の故郷へ

内在する普遍の“真価”を顕現しゆく

地球意識の行動 急務なり

 

けだし生命は尊し 一輪の花にても

 

天地の恵みを 感受する人あり

宇宙本源のリズムと 共鳴和音奏でる人あり

自然愛と 人間愛に 先駆する人あり

美しき地球守りゆく 行動の人あり

 

我らは顕彰す

黙示的平和の原初“HIROSHIMA”より

共和の世界の為に 多様な営みの中

真の勇気を 示しきる使者を――――

未来を 高次の現実へ

華(はな)ひらかせ征く その人に

 

献詩“ROSE COSMOS”を捧ぐ

 

広島市制100 周年記念・米ソ宇宙平和サミット

“宇宙の生命へ愛を”